0. まえがき

本シナリオは、以下のダンジョン探索ルールにしたがって管理・運用されます。開催GMは、セッション前、あらかじめ参加プレイヤーにルールを開示し、共通認識を作っておいて下さい。

通常のSW2.0ルールとの相違点は、単純化・ゲーム化している点です。ゲームブック型サプリメントをお持ちの方は、近いイメージで考えるとよいでしょう。

下記ルールをどれほど厳密に運用するかは、卓の傾向次第でしょう。アドリブ込みで柔軟に進めてもいいですし、ゲームブックのようにデータを厳守しながらさくさく遊ぶのも良いでしょう。

このルール・テキストは、事前にプレイヤーに配布しておき、オフセッションならば当日もレジュメとして用意して下さい。

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1. セッション全体の進行管理

 導入フェイズ → ダンジョン探索フェイズ → エピローグ・フェイズ

上記の通りに進行します。下記『ダンジョン探索ルール』が適応されるのは、うち『ダンジョン探索フェイズ』に限定されます。以下は『ダンジョン探索フェイズ』に限定した記述です。

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2. 探索の進め方

PCチームは【探索】宣言と【休憩】宣言を使い分け、ゲームを進めます。【探索】宣言で【エリアカード】の指示に従いながら新たな【エリアカード】を発見していき、ダンジョンの奥へと進みます。

▼【探索】宣言

PCチームは、【代表者1名】といま探索できる【エリアカード】を1枚指定します。次いで、代表者は【エリアカード】に指示された判定を行い、結果に従います。このとき、【エリアカード】で指示がないかぎり、【代表者】(判定挑戦者)は1名(PCの中から任意)です。

判定に失敗すれば「ダメージといった形のペナルティ」、成功すれば裏テキストを参照します。「新たな探索場所を発見したり、宝物を発見できる」ことが多いでしょう。【エリアカード】のテキスト次第です。

……とはいえ、すべての探索箇所が、意味のある探索箇所とは限りません。すべてを隈なく探し尽くそうとすれば、かえって被害が大きいかもしれません。

【エリアカード】の例

▼滝裏の洞窟 (表)

人里離れた山奥、滝裏に隠れた洞窟。足元には地下水脈が流れ、踝まで水に浸かりながら奥へと進む……。

探索判定(12)/【スカウト/レンジャー+知力B+2d6】で判定

成功:裏を見る。

失敗:行き止まりだ。引き返そうとしたそのとき、がけ崩れだ! 【危険感知判定(13)】を行い、失敗すれば【2d6+4点の物理ダメージ】を受ける。

-再挑戦-

判定に失敗し、指示された失敗結果を終えた後で、また同じ【エリアカード】を再探索したいかもしれません。このとき「別のPCが代表者になれば」問題なく再挑戦できます。

すでに1度挑戦したPCは、再び同じ【エリアカード】探索の代表者になれません。

ただし【TP】*を1増加させるごとに、すでに判定失敗したPC全員がもういちど代表者になれます。この権利復活は、【1TP】につき1つの【エリアカード】に限定されます。

*【TP】とは

後述「3. 時間管理の変更」で説明する時間管理用の概念です。一定値に達すればミッションが失敗に終わります。

▼【休憩】宣言

【探索】の手を止め、PCチーム全体を休憩させます。具体的には、1回の【休憩】につき、薬草(救命草・魔香草など)を、PCひとりにつき2つまで、また戦利品の獲得処理を好きな回数行えます。回復やはぎ取り処理を終えたら【TP】を1増加させて下さい。

▼再訪

途中まで進めたイベントを放置し、別のところを探索したくなることもあるでしょう。シナリオ上の指示がないかぎり、PCチームは提示されている【エリアカード】すべてを、いつでも探索できます(ただし、制限がかかるときもあります)。

▼その他の行動

ゲーム面での影響を与えないかぎり、演出面ではどんな行動も自由です。プレイヤーは、【探索】や【休憩】に関わる宣言は宣言として明確に伝えるように意識すると、ゲームがスムーズに進行するでしょう。

▼注意点

【宣言】は、ひとりずつ、1回ずつ処理して下さい。「宣言・ダイス・結果適応」まででワンセットです。もし複数人が一斉にダイスを振り、失敗と成功が混在した場合、「お手つき」として扱い、失敗分から優先処理して下さい。

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3. 時間管理の変更

▼戦闘外の時間管理

戦闘外の時間管理は、リアルベースの(1分や10分・1時間といった)管理方式を止め、簡略化のため【TP】(Time Past)という値を導入します。【TP】は時間経過を意味します。以下の行為によって【TP】は1増加します。

・薬草を使用した【休憩】、戦利品判定

・一度失敗した判定への(同一人物による)【再挑戦】

・イベントで指定された結果にもとづく増減

・その他、GMが時間がかかりそうと判断したすべての行為

10秒で使用できる魔法や、ポーションの使用、シナリオクリアのための最短経路を進む限りにおいて【TP】は増えません。【TP】の値が増加すれば、それだけ(余分に)時間をかけたことになります。

あまり時間をかけすぎれば、PCたちにとって望ましくない結果を招くことでしょう。このシナリオでは、【TP】が「4」に達すればPCたちにとって不利なことが起き、「8」に達すればミッション失敗になります。逆に言えば【TP】の増減以外の時間経過によって、ゲーム的な不利がもたらされることはありません。

判定に成功し続けるかぎり、【TP】は0のままでシナリオクリアも可能です。後述の【休憩】や【再挑戦】をうまく用いてダンジョンを攻略して下さい。

Q&A

Q.【休憩】で【TP】が1増加したら、一度失敗した判定へ【再挑戦】できるか?

A.できません。【再挑戦】は「【TP】を1増加させることで、それまでの挑戦をリセットする」という【宣言】として扱います。いつ挑戦していつ休憩したかを管理するのが面倒なため、このようなルールにしました。

▼(補記) 戦闘外魔法の持続時間

持続時間が「18ラウンド」「1時間」の非戦闘時使用魔法は、以下のように読み替えて運用します。

18ラウンド:直後の行動で1回分メリットを享受する、もしくは次の【宣言】までずっと

1時間:【TP】が1増加するまでの間ずっと


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4. トラブルカード

【トラブルカード】とは主に【エリアカード】で指示された判定に失敗したとき、指示されるイベントです。おおむね悪いことが起きますが、稀にいいことも起きます。【トラブルカード】でのイベントは全部で13個用意されており、13個をすべて経験するまで同じトラブルは起きません。セッションでは、トランプなどのカードを用いて山札として管理する、ランダムに選び出し、リストを使って起きたトラブルにチェック、といった形で運用すると良いでしょう。

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5. 省略戦闘

【省略戦闘】は、主に【トラブルカード】でモンスター遭遇イベントを引いたときに用います。本格的な戦闘処理を行わず、数回の判定と演出だけで戦闘を決着させる方式です。ただし戦利品や経験点は獲得できません。

0.GMは、モンスターと遭遇した場所を踏まえて、それらしい演出をしましょう。

1.GMは【モンスターレベル+2d6】で判定、「目標値」を算出します。

2.PCチームは【代表者1名】を選び出し、【任意のAテーブル技能+任意の能力値B+2d6】で判定、達成値を算出します。

3.1と2を比較し、PCチームが判定に成功すればモンスターを撃破、イベントは終了です(「目標値」なので同値成功)。

4.判定に失敗すると、代表者は「魔法系技能で判定したなら:MPを[モンスターLv]点消費します」「戦士系技能で判定したなら:HPに[モンスターLv×2]点の魔法ダメージ(軽減不可)を受けます」。その後、2(PCチームの代表者選出、達成値算出)に戻ります。

5.成功するまで判定は続きます。代表者の交代のほか、代表者を選出するタイミングで、戦闘中に可能な行動(自分へのポーション使用、魔法回復・支援)は何でも行えます。

6.判定に成功したら、技能や能力に沿って好きに敵を倒す演出をしてもらいましょう。


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