表紙ページとダンジョン探索ルールを参加者全員で共有し、レギュレーションを定めてキャラクターを作成します。GMはセッション運用のため、以下の準備が必要です。
シナリオとルールにざっと目を通しておきましょう。
ハンドアウト「蛮将との因縁」採用PCがいれば、簡単に背景を打ち合せておくと盛り上がるでしょう。
また、パーティが喜びそうな「6,000ガメル相当の有為マジックアイテム」を選び出して置いて下さい。ダンジョン内で発見できます。
このシナリオ情報やルール・レジュメを印刷し、進行に応じて参照・プレイヤーに渡せるよう切り分けておく必要があります。
「GM専用ページA/印刷用」を必要に応じて裁断し、カードゲームなどに用いるカード・スリーブに入れます。
IRCセッションの場合は「Googleドキュメント」や掲示板にコピー&ペーストといった形で、文章(【エリア・カード】やモンスター・データ等)を全員で共有できる手段を用意しておいて下さい。
「どどんとふ」であれば上述の手間は省けますが、【エリアカード】をカード・テキストなどで事前に用意しておくことで、進行がよりスムーズになるでしょう。
挨拶や確認を終えてセッションがはじまれば、まず以下の文章を読み上げます。
冒険者たちが挑むのは、
魔法薬学の達人イシルウェの遺跡。
そこに待ち受けていたのは、
危ないバナナだった――!
今回予告の読み上げはシナリオの雰囲気を伝えてプレイヤーと共有、セッション進行を円滑にするために行います。なにより、映画っぽくてかっこいい。
冒険者(PC)たちが遺跡屋から遺跡情報を買うところから始まります。冒険者の宿や遺跡屋のキャラクターは、舞台・卓にあわせて好きに設定して下さい。価格は1000ガメルとし、かなり信憑性の高い情報だ、と遺跡屋は持ちかけます。
説明しておくべき点は以下の通りです。
ことの経緯
・遺跡屋が野外を探索中、滝近くで蛮族の斥候と遭遇した。蛮族の斥候は示し合わせたように滝裏の洞窟へと入っていった。
・遺跡屋は隠れ潜み戦闘を避け、時間を置いて滝裏の洞窟へと入り込んで調べてみた。すると奥は突き当たりに見えたが、岩はただの幻影だとわかった。幻影の岩をすり抜ければ、さらなる奥に魔導文明末期と思しき人工建築物が見えた
・街に帰って文献を当たってみるに、「イシルウェの隠れ庵」ではないかと推測するに至った
・蛮族の斥候たちは部隊章を落としていった。その部隊章は、最近台頭しつつあるドレイク「ブレイヴィグ」の部隊章だ。遺跡屋はそれを拾い、持ち帰った
魔法使い「イシルウェ」とは
・《大破局》の時代、蛮族の侵攻から人族を守ったエルフの魔法使いがいた
・魔法使いの名はイシルウェ。魔法薬学の大家であり、森を離れてこの街付近に隠れ庵を構えていたとされるが、今日に至るまで発見されていなかった(これらイシルウェの伝承は、セージかバード技能保持者であれば知っているとして構わない)
ドレイク「ブレイヴィグ」とは
・近年、この付近で台頭しはじめたドレイク。情け容赦ないやり口で人族を苦しめている。強力な力を求める傾向にあるという
ここでGMは、プレイヤーがオプション・ハンドアウトを使用していた場合、それぞれ確認し、プレイヤーに読み上げてもらって下さい。
遺跡屋は冒険者(PC)たちに、滝裏の洞窟を指し示した地図を渡します。遺跡屋から買い取れる情報(GMから導入で説明しておくべき事項)はこれで全部です。
GMは改めてプレイヤーに「今シナリオのミッションは、イシルウェの遺跡を探索し、お宝を手に入れることだ」と伝えて下さい。
Q.その他に情報はないか?
A.遺跡屋は荒事担当ではないため、危険に踏み込んでまで立ち入ったことを調べることはない。これ以上は危険が予測されたため、君たち冒険者の領分だ、と判断した。
Q.街でこれ以上調べられることは?
A.時間をかけて調べれば何かあるかもしれないが、蛮族の斥候部隊が既に入り込んだ事実を踏まえよう。君たちが悠長に街で調査しているうちに蛮族たちが先を越してしまうだろう。また、ちょっとした(時間消費リスクを負わない)文献調査では、手がかりは得られない。
Q.滝裏の洞窟まで何日かかる?
A.シナリオの都合で決めて構わない。また、道中処理は割愛する、とプレイヤーに打ち明ける。準備を終えて街を出たら、すぐにダンジョン探索シーンを開始する。もし食料管理を綿密に行っている卓ならば、行き・ダンジョン滞在・帰りで合計1週間分の食料を使うものとする。
他に質問がなければ、準備に入ります。購入や売却といった行動に希望があれば、ここで処理して下さい。準備が終われば、出発です。
道中処理は割愛します。物足りないと思えば、GMは好きに付け足して下さい。導入処理は以上です。次から「ダンジョン探索ルール」を用いたダンジョンパートになります。
ここからがダンジョン探索パートです。最初に下記【エリアカード:滝裏の洞窟(表)】を提示します。
▼滝裏の洞窟 (表)
人里離れた山奥、滝裏に隠れた洞窟。足元には地下水脈が流れ、踝まで水に浸かりながら奥へと進む……。
探索判定(12)/【スカウト/レンジャー+知力B+2d6】で判定
成功:裏を見る。
失敗:行き止まりだ。引き返そうとしたそのとき、がけ崩れだ! 【危険感知判定(13)】を行い、失敗すれば【2d6+3点の物理ダメージ】を受ける。
以下、ダンジョン探索ルールを運用し「3.エリアカード」と「4.ロールプレイ・イベント」を参照しながらセッションを進行させて下さい。
プレイヤーに伝えておくこと
【滝裏の洞窟(表)】提示のタイミングで「ここからは蛮族たちとの競争になるため、【TP】による時間管理がはじまる」旨をプレイヤーに説明して下さい。もし【TP】が「8」に達すれば、蛮族たちがお宝を手に入れてしまうでしょう。
【滝裏の洞窟】から【隠れ庵】の発見までは、チュートリアルとお考え下さい。【隠れ庵】の発見まで無事に処理を終えたら、GMはいちど進行ルールで気になるところはないかプレイヤーに確認し、質問に答えて下さい。
【現在TP:4】以上になれば、ブレイヴィグたちはすでに【呪怨の玉座】まで到達しています。このとき、魔剣の守護者は登場しません。ブレイヴィグたちも苛々していますが、PCたちが到達すれば、事情を察します。魔剣の迷宮は試練の迷宮。先にPCたちと決着をつけなければ、魔剣の守護者は現れないのです。ブレイヴィグたちと魔剣の守護者の連続戦闘になります。詳細は「4-8. 魔剣の守護者」を参照して下さい。
【現在TP:8】に達すれば、ブレイヴィグたちが魔剣ロックバナナを入手してしまいます。このとき魔剣の迷宮は消失し、ブレイヴィグたちは誇らしげに、PCたちは失意の内に引き返すことになるでしょう。ミッションは失敗、セッションは終了処理に突入します。獲得経験点は500点になります。詳細は「6.エンディング」を参照して下さい。
(イシルウェを探せば、全裸のまま気絶した状態で発見できます)
その他に【TP】増減によるデメリットはありません。
・「○○判定(12)」と書かれているテキストは、「○○判定・目標値12」の省略形式です
・新たな探索場所【○○】と書かれているテキストは、【エリアカード】のことを指します。
・特に指定がない場合、結果適応は「代表者(判定挑戦者)に対してのみ」です
・「物理ダメージを単体に適応する」場合、《かばう》持ちのPCが宣言すれば、ダメージをそちらに適応して構いません
・アルケミスト技能やウォーリーダー技能といったサプリメント追加技能については記述が対応していません。そうしたデータ部分は各自で補完して処理して下さい
▼滝裏の洞窟 (表)
人里離れた山奥、滝裏に隠れた洞窟。足元には地下水脈が流れ、踝まで水に浸かりながら奥へと進む……。
探索判定(12)/【スカウト/レンジャー+知力B+2d6】で判定
成功:裏を見る。
失敗:行き止まりだ。引き返そうとしたそのとき、がけ崩れだ! 【危険感知判定(13)】を行い、失敗すれば【2d6+4点の物理ダメージ】を受ける。
▼滝裏の洞窟 (裏)/結果
複雑に分岐した洞窟を試行錯誤しながら進む。その先に待ち受けていたのは……
新たな探索地点を発見した!(【水没通路】【地下迷宮】)
▼水没迷路 (表)
自然の岩肌が途切れ、人工の石壁が目に入る。通路はすっかり水没してしまっており、水中行動能力がなければ探索はおぼつかないだろう。
生命力判定(17)3連続成功(〈剣の加護/優しい水〉持ちであれば1ゾロ以外で成功)
成功:裏を見る。
失敗:息が持たない――引き返すしかない。即座に【2d6点の魔法ダメージ】を受ける。
▼水没迷路 (裏)/結果
正しいルートを見つけさえすれば、水中行動が難しい者でも息継ぎしながら進むことができる。『陽光の腕輪(分冊I)』を発見し、趣きのある部屋にたどり着いた。
新たな探索地点を発見した!(【居住区】【魔術工房】【書斎】)
▼地下迷宮 (表)
水没通路を行けなければ、こちらを進むしかないだろう。複雑な地下迷宮の入り口が君たちを待ち受ける……。
探索判定(14)/【スカウト+知力B+2d6で判定】
成功:【トラブルカードを1枚引く】。その後、裏を見る。
失敗:迷宮は複雑で、危険だ。罠や怪物と遭遇することもあるだろう。【トラブルカードを1枚引き】【TPを1増やす】。その後、【パーティの中からランダムで1名:15点の物理ダメージを受ける】。
▼地下迷宮 (裏)/結果
君たちは危険な地下迷宮を踏破し、趣きのある部屋へとたどり着いた。この場所は、かのイシルウェの隠れ庵だろうか? 【TPを1増やす】こと。
新たな探索地点を発見した!(【居住区】【魔術工房】【書斎】)
【地下迷宮】と【水没通路】のたどり着く先は同じだ。GMはこの点をプレイヤーに伝えること。
▼イシルウェの隠れ庵:居住区 (表)
ここは私室だ。魔動文明様式の寝台、クローゼット、キッチンなどが取り揃い、乱雑に散らかっている。先行した蛮族たちが荒らしたに違いないが、何の気配も感じない。
見識判定(14)/【セージ+知力B+2d6】で判定
成功:裏を見る。
失敗:『美女エルフのピンナップ』を1枚発見する。
▼イシルウェの隠れ庵:居住区 (裏)/結果
価値のありそうなものはあらかた奪い取られている……しかし見過ごしはあったのだろう。『俊敏の指輪(分冊I)』『イシルウェの手記』を発見する。
▼イシルウェの隠れ庵:魔術工房 (表)
この部屋は魔術工房だ。扉はかたく施錠されている。この扉を開くには【解錠判定(14)】もしくは魔法による解錠が必要だ。うまく扉を開けば、そこは魔法陣とさまざまな儀式用の器具。操霊魔術師にとっては見慣れた光景だが……?
探索判定(16)/【スカウト+知力B+2d6】で判定
成功:裏を見る
失敗:【トラブルカードを1枚引く】
▼イシルウェの隠れ庵:魔術工房 (裏)/結果
隠された財宝部屋を発見した。しかし財宝の前を「緑色の炎」が遮っている。炎を無視して突っ切ろうとするならば、財宝の前まで辿り着くのに【威力40+追加17・クリティカル値10】の【炎属性の魔法ダメージ】(抵抗不可)を受ける。帰りも、同じだけのダメージを受ける。炎の手前脇には籠が備え付けられ、5つのポーションが無造作に置かれている。ポーション・イベント参照のこと。
首尾よく財宝部屋まで辿り着き【解錠判定(13)】に成功したとき、あなたたちは6,000ガメル前後相当の有為アイテムと3,000ガメル相当の貴金属を得る。
▼イシルウェの隠れ庵:書斎 (表)
小さな書斎だ。蛮族たちが踏み入り荒らしまわった形跡があり、書棚は倒れ、本は無残に散らばっている。無事な棚と棚の間に、魔法の輝きを放つ銀門が聳え立っている。
見識判定(14)/【セージ+知力B+2d6】で判定
成功:裏を見る。
失敗:【トラブルカードを1枚引く】。【門】を通ることはできる。結果を見ず、新たな探索場所を追加する。
▼イシルウェの隠れ庵:書斎 (裏)/結果
書籍は保存状態が悪く、価値のあるものはなさそうだ。目当ての書籍も見つからない。
銀の門は「魔剣の迷宮の入り口」だとわかる。蛮族たちもこの先へと赴いたに違いない――危険はなさそうだ。あなたたちが銀門に飛び込めば、これまでとまったく異質な、不可思議な光景が眼前に広がった。新たな探索場所【惑いの庭園】を発見する。
古びた『がまぐち財布』と財布に入った『美女エルフのピンナップ』を見つける。
▼剣の世界:惑いの庭園 (表)
銀の門を通り抜けると、そこは美しく儚げな庭園だった。見上げれば不思議な色合いの空が広がり、建造物内部とは思えない。花々はざわめき、囁き、あなたたちを惑わす。
「全員」精神抵抗判定(12)/【冒険者Lv+精神B+2d6】で判定
過半数(4人PTなら3人以上)成功:裏を見る。
半数以上失敗:花の囁きに惑わされ、あなたたちは道を失う。【トラブルカードを2枚引き】【TPを1増加させる】。
▼剣の世界:惑いの庭園 (裏)/結果
花の誘いを振り切り、あなたたちは庭園を突っ切る。新たな探索地点(【四季の森】【妖精の泉】)を発見する。
▼剣の世界:四季の森 (表)
ある樹には桜咲き、別の樹は鮮やかな緑眩しく、落葉はらはら、雪化粧の枯れ木。あなたたちの眼前には、四季折々の様相を同時に見せる不思議な森が広がっている。
この場所を探索する際、判定の前にイベント「果実の誘惑」が発生する。
探索判定(15)/【スカウト/レンジャー+知力B+2d6】で判定
成功:裏を見る。
失敗:突如として樹々が蔦を伸ばし、あなたたちを絡めとる! 全員が【危険感知(17)】に失敗すれば【ランダムで2名:18点の物理ダメージ】を受ける。
▼剣の世界:四季の森 (裏)/結果
突如、小柄な猿が、あなたたちの道行きを立ち塞ぐ。GMはイベント「チンパンジーとの遭遇」を参照してイベントを進めること。
▼剣の世界:妖精の泉 (表)
森はずれに、透き通った泉を発見した。泉のほとりには籠が置かれており、中には拳大の石がふたつ、そして【魅惑的なバナナ】が一本置かれている。
【冒険者Lv+知力B+2d6:(16)】で判定
成功:裏を見る。
失敗:失敗者は【魅惑的なバナナ】を食べたくなる。イベント「禁断の果実」を参照し、抵抗判定を行うこと。成功せずとも、PCたちがうまく行動すれば、成功時と同じ結果を与えても構わない。
▼剣の世界:妖精の泉 (裏)/結果
イベント「泉の妖精」を参照する。
▼剣の世界:冥府の川
雷雲孕んだ赤昏い空の下、黒に染まった大河が轟々と流れている。船着場には小舟とオール。だが、手にとってもピクリとも動かない。河岸では骸骨たちが卓を囲み、ゲームに興じている。
骸骨たちと戦闘する→イベント「骸骨たちと戦闘」へ
骸骨たちに話しかける→イベント「骸骨たちと会話」へ
▼剣の世界:屍者の回廊 (表)
暗く汚れた回廊は死の臭気に満ち満ちている。ところどころに死体が倒れ、いつ起き上がって来るとも知れない――何より、蛮族たちの足跡が見つかった。
探索判定(16)/【スカウト+知力B+2d6】で判定
成功:【パーティの中からランダムで1名:20点の物理ダメージを受け】裏を見る。
失敗:回廊は危険だ。いつ屍者たちが襲いかかって来るとも知れない。【トラブルカードを2枚引き】【TPを1増やす】。その後【パーティの中からランダムで2名:25点の物理ダメージを受ける】。
▼剣の世界:屍者の回廊 (裏)/結果
【現在TP】が「3」以下ならば、イベント「ブレイヴィグとの邂逅」を処理する。その後、【現在TP】にかかわらず、新たな探索場所【呪怨の玉座】を発見する。
▼剣の世界:呪怨の玉座
禍々しい石の玉座がそこにある。左の台座にはバナナ、右の台座には岩が置かれ、その前には不死者とゴーレムが佇んでいる――ここが、最後の試練なのだろうか? もし【トラブルカード】の山札が10枚以上残っているなら【トラブルカード】を1枚引く。その後、イベント「魔剣の守護者」へ
【エリアカード】で参照を指示されたとき、各項目に従ってイベントを進行させて下さい。
4-1. 謎のポーション5つ
4-2. 果実の誘惑
4-3. チンパンジーとの遭遇
4-4. 泉の精
4-5. 骸骨たちとの戦闘
4-6. 骸骨たちとの会話
4-7. ブレイヴィグとの邂逅
4-8. 魔剣の守護者
4-9. 魔剣ロックバナナ
4-10. 決戦、ブレイヴィグ!
正直に申し上げると、下記のポーションを飲んで笑ってもらうためのイベントです。「緑色の炎を無効化するポーション」を飲み、宝物を獲得するためのイベントです。
プレイヤーに隠さず伝えて良い情報
・【白・赤・緑・どどめ・ドクロ】ラベル、それぞれ1つずつが籠に入っています
・ポーションに対する見識判定:イシルウェの自作、かつ実験作と思われ、一般的な知識にありません。ドクロ以外は舐めた程度で判別できず、飲んでみてはじめて効果がわかります
・ドクロは舐めると刺激を覚え、毒だと分かります
・ポーションのうちどれかが「緑色の炎を無効化する」効果です
・ポーションの効果は、飲めばすぐに分かります
・ポーションの持続時間は【このセッションの間ずっと】です
・抵抗判定を放棄し、効果を受け入れても構いません
▼白ラベルのポーション
効果:緑色の炎を無効化する。
▼赤ラベルのポーション
効果:惚れ薬。【精神抵抗判定(18)】を行う。抵抗に失敗すれば、他PCをランダムで1名選び(種族・性別不問)、そのPCに惚れ、愛してしまう。どこまでロールプレイするかはPL次第だが、うまくロールプレイできたとGMが判断したとき、セッション終了時の経験点を50点増やすこと。
▼緑ラベルのポーション
効果:性転換ポーション。飲んだPCは即座に【生命抵抗判定(18)】を行う。抵抗に失敗すれば、ポーションを飲んだPCは即座に性転換する。鎧のリサイズなどは深く考えないものとする。
▼どどめラベルのポーション
効果:【生命抵抗判定(18)】を行う。抵抗に失敗すれば、使用者の腰あたりから触手が3本ほど生える。触手は意のままに動かせるが、力や速度はそれほどなく、武器や盾をにぎるようなことは出来ない。うまく使えば敵の行動阻害などはできるため、ゲーム的には【近接戦闘の命中判定に+1のボーナスが発生する】。
▼どくろラベルのポーション
効果:毒だ。飲んだ者は【15点の魔法ダメージ・毒属性】を受ける。
【剣の世界:四季の森】で探索宣言を受けたとき、初回に限り、GMはこのイベントを差し込んでください。
PC全員は【精神抵抗判定(12)】を行います。判定に失敗したPCは、四季の森に生い茂る魅惑的なバナナに気をとられふらふらと近づき、むしりとってむしゃぶりつきそうになります。
ここで判定失敗者に【危険感知判定(16)】を指示して下さい。この判定に成功すれば口に入れる直前に、バナナが危険なものであると気付き、食べずに済みます。判定に失敗したPCは、バナナを貪り食べてしまいます。
【魅惑的なバナナ】を食べた者は、即座に【能力値成長処理】(セッション終了後に行うものと同じ:2d6を振ってどちらかを選び、出目に対応した能力値を上昇させる)を1回行います。また【バナナポイント】を1増加させます。。
もしプレイヤーが能力値上昇に喜び、そのまま2本目を貪り食べようとした場合、GMは「バナナが危険なものであるとPCは理解した」とプレイヤーに伝えて下さい(もちろん、その上で食べることを選ぶのは自由です)。
魅惑的なバナナ
【魅惑的なバナナ】への見識判定(15)/【セージ/レンジャー+知力B+2d6】
→成功:
このバナナが魔剣の効果にまつわるもので、強力な力を秘めているものの、同時に【穢れ】も帯びていることが分かります。以下の詳細が分かります。
・【バナナポイント】が1点増えるたびに、能力値成長処理を行う
・【バナナポイント】が2点増えるたびに【穢れ】が1増える
・【バナナポイント】が4点以上貯まれば、この迷宮から出られなくなる
・【バナナポイント】が6点以上貯まれば、更に愉快な危険が満ちているが、その詳細はわからない
【バナナポイント】6点以上の末路は、イベント「チンパンジーとの遭遇」を参照する。
「そこの君たち! 話を聞いてくれ!」と、豊かなバリトン・ボイスで皆さんを呼び止めたのは、小柄なチンパンジーです。魔動機文明語とエルフ語で同じ言葉を繰り返し、皆さんに語りかけます。
「我が名はイシルウェである」重々しい声でチンパンジーは語り始めます。彼の瞳から理性の輝きと愁哀の情が宿っていることに気付くでしょう。
イシルウェはしばしの間、PCたちと語らい合います。
・なぜ猿になったか・魔剣の迷宮について・果物の危険性
・ドレイクの将のこと
・『魔法薬学大全』のこと
・話し終えて
(>なぜ猿に?・迷宮のこと)
「魔剣のせいだ」とイシルウェは言います。「この魔剣は穢れを溜め込む魔剣だ。魔剣の森に生い茂る果実に魔法薬学研究者として魅力を感じた私は、果実を採取し精製を試みた。研究は楽しかった。うまくもいった。しかし、果実がいかに危険かに気付いたのは、しばらく経ってからだった……すべては遅かった」
「まず、この迷宮から出ることができなくなった。次いで、この猿の姿に変化した。最後に、理性を保っていられる時間がだんだんと減っていった……」イシルウェは頭をかきむしります。
「私は恐怖した。しかし恐怖できるうちはまだマシであった。本当に恐ろしいのは、恐怖すら感じなくなり、猿としての生活にすっかり順応してしまうことだった。今や理性が戻る瞬間こそもっとも恐ろしい。しかし君たちがやってきた。希望だ。いいか、果物を食してはいけない。そして、どうか頼む。魔剣を手に入れ、この迷宮を解放してくれ……!」
(>ドレイクの将のこと)
「ああ、たしかに見たとも。部下を引き連れ、奥へと向かっていった。あいにくそのときはチンパンジーだったので記憶が曖昧だが……」イシルウェの証言を照合すれば、蛮族のリーダーがドレイクであり、人相がブレイヴィグと一致することがわかります。
(>『魔法薬学大全』のこと)
「ここに来て隅々まで探索し尽くした折のことだ。川べりに骸骨の集団がおって、愉快そうにゲームに興じておった。実に愉しそうであった。私はそれに混じった。その結果……」ゲームに負け、チップ代わりにしたという『魔法薬学大全』を巻き上げられてしまった、とイシルウェは語ります。「運が良ければ、まだ骸骨たちが持っているだろう」
(>話し終えて)
「うっ」突然、イシルウェはよろめきます。「もう時間がない。いいか、魔剣を手に入れ、この迷宮を解放――ウ、ウキー! ウキッキー!」イシルウェはぴょんぴょんと楽しげに飛び跳ね、話しかけても「ウキー!」としか答えません――そのまま果実を貪り食べた後、何処かへと去ります……。
石とバナナのうちどちらかを泉に落とせば、水の妖精が姿を現します。
「あなたが落としたのはこの金の(バナナ・石)ですか? それとも銀の(バナナ・石)ですか?」
正直に答えれば、「この泉を通れば、次へと進めます」と教えてくれます。新たな探索場所【冥府の川】【屍者の回廊】を追加して下さい。
嘘をつけば、お仕置きされます。足元に穴が開き、自動的に【屍者の回廊】へと飛ばされ、失敗イベントを処理して下さい。その後、【冥府の川】も追加します。
骸骨たちと戦闘します。
「簡略戦闘」で処理します。モンスターレベルは7扱いです。
彼らを倒せば、1,000ガメル相当の宝飾品を手に入れます。ただし、『魔法薬学大全』は発見できません。また、新たな探索場所へも到達できません。
骸骨たちは陽気に、君たちをゲームに誘います。舟を動かしてほしいと頼むならば、「君たちがゲームに参加してくれたら」と云います。
もし『魔法薬学大全』について訊ねれば、「ああ、持っているとも。ただし、隠してある。ゲームに勝てば君たちに譲ろう」と答えます。
演出上どんなゲームをするかは自由ですが、プレイヤー側が行う処理配下の通りです。
▼ゲームの処理方法
・PC代表者1名を選び、200ガメル刻みの最大1000ガメルの賭け金を差し出す
・GMと代表者はシンプルに2d6を振り、高い方が勝者となる
・勝てば掛け金と同額のガメルを得、負ければ掛け金を失う
・PC側が勝てば、掛け金を受け取る代わりに『魔法薬学大全』をゲットできる
(ただし、プレイヤーが望んだときのみ)
・PC側が勝つまで続けてもらって構いません
ゲームの勝敗・結果問わず、遊び終えれば、骸骨たちはオールを手にし、PCたちを対岸まで運んでくれます。新たな探索場所【呪怨の玉座】を追加して下さい。
▼オプション:ゲームの変更
サイコロを振り合うだけのゲームでは単純すぎてつまらない! という方もいるかもしれません。もし時間に余裕があるならば、実際にゲームをしてもいいでしょう。トランプを持ち込みブラック・ジャック、チンチロリン、といった例が考えられます。
ただし、あまり複雑で時間がかかるものだと、セッションがダレます。あくまでアクセントですから、プレイヤーが知らずルール説明に時間のかかるなゲーム、1プレイに時間のかかるゲームは控えて下さい。
【TP:4】以下ならば、回廊の途中でブレイヴィグたちと遭遇します。問答で場を盛り上げたあと、戦闘に突入しましょう。
【TP:5】以上ならば、ブレイヴィグたちはここにはいません。すでに【呪怨の玉座】に到達しています。
ブレイヴィグのロール方針
ハンドアウト「蛮将との因縁」を持ったPCがいれば、憎しみを煽るようなロールを頑張って、プレイヤーのモチベーションに火をつけましょう。シナリオで性格は指定しません。PC設定に合わせて盛り上げて下さい。トドメや散り際にも、演出やロールプレイを入れると楽しいでしょう。
ブレイヴィグたちは、蛮族軍のひとりであるレッサー・ヴァンパイアから情報を得て、魔剣ロックバナナのことを知り、ここまで辿り着いたようです。
▼敵の編成
ドレイクリーダー・ブレイヴィグ(オリジナルデータ参照)/欠片6個入り
ボガード・トルーパー(分冊2)×1体 /HP6点負傷済み
ボガード・ソーズマン(分冊2)×3体 /HP6点負傷済み
ディープ・グレムリン(分冊2)×1体
▼初期位置(通常戦闘)
PC後衛 -5m- PC前衛-10m- ソーズマンABC・トルーパー -10m- ブレイヴィグ・グレムリン
▼戦闘方針(例)
ドレイクは知能が高いため、それなりの戦術を駆使します。
戦闘方針直後、ディープ・グレムリンとブレイヴィグは無闇に突撃せず、魔法支援による強化や範囲攻撃魔法に徹してください。トルーパーも同様に、ブレイヴィグやグレムリンからやや前に位置し、遮蔽と護衛に徹しましょう。ソーズマンたちは突撃させて下さい。
回復魔法や支援魔法は、決定力の高いブレイヴィグかトルーパーに限定して用いて下さい。また、脆いPC、脅威度の高いPCへ集中攻撃してください。
取り巻きの数が減ってきたとき、もしオプション・ハンドアウトでブレイヴィグと因縁を持つPCがいるならば、そのPCを優先的に狙って下さい。
【TP:3】以下ならば、「守護者」そのまま戦闘です。このとき、戦闘突入前に事前支援は好きなだけかけて構わない、と伝えてください。
【TP:4】以上ならば、ブレイヴィグたちがいます。「4-7. ブレイヴィグとの邂逅」を参照し先にブレイヴィグたちと戦闘し、勝利すれば、すぐに下記「魔剣の守護者」が出てきます。これは連続戦闘として扱います。休憩時間はありません。10秒(1ラウンド)ほどの時間は与えて構いません。
▼敵の編成
ジャック・オー・ランタン(分冊2) /欠片4個入り(HP+20)
※外見はかぼちゃではなくバナナですが、データに変更はありません
ロック・ゴーレム(分冊2) /欠片なし
▼初期位置(通常戦闘)
PC後衛 -5m- PC前衛 -12m- ジャック・ゴーレム
守護者との戦闘に勝利した冒険者たちの前に、輝く魔剣「ロックバナナ」が浮かびます。
魔剣ロックバナナのデータを開示し、所有者を定めます。PCの中で誰か望む者がいればその者に、誰も望まないならばランダムで所有者を決定します(アイテムデータを参照し、事前にデータを決定しておいてください)。
もしブレイヴィグたちと戦闘しておらず、かつ、PCたちが望むならば、魔剣の迷宮消失後、ブレイヴィグたちと決着を付けてもらって構いません。このときは迷宮消失後、PCたちとブレイヴィグがあいまみえるかたちとなります。
PCたちが望まないのであれば、彼らと出会うことなくエピローグへと向かいます。ブレイヴィグたちも魔剣入手というミッションに失敗したこともあり、彼らは素直に撤退します。
ブレイヴィグたちとの戦闘条件は、「4-7.ブレイヴィグとの邂逅」を参照してください。
【トラブルカード】はトランプの1から13を用いることを想定しています。山札から引くかたちでイベントをランダムに選び、一度経験したトラブルカードは除外されます。
サイコロによるランダムでも構いませんが、その場合はリストを用意し、一度登場したイベントにチェックをつけ、同じ目が出たときは下のイベントを参照して下さい。
もしトラブルカードの山札が尽きた場合、すべてを場に戻してシャッフルし直して下さい。
【代表者PC】とはトラブルカードを引いたときの判定挑戦者のことを指します。
1:宝物(豪華)
宝箱だ! 【1,500ガメル相当の貴金属】と【光のアミュレット】(分冊1)を手に入れる。
2:何も起きない
何も起きない。あなたたちは幸運だ。
3:暗闇の出来事
PCの中から【暗視能力】を持たない者を2名ランダムで選ぶ。突然、魔法の暗黒が周囲を包み、ふたりの唇と唇が偶然触れ合ってしまう(性別・種族不問)。暗視を持たないPCが1名以下の場合、一時的な暗闇が包む他、特に何も起きない。
4:省略戦闘/モンスター襲撃(レベル4)
モンスターが襲ってくる! 【省略戦闘】で処理すること。どのようなタイプのモンスターが襲ってくるかは、【トラブルカード】を引いたエリアに合わせてGMが演出すること。
5:さらば財布
PCのなかで所持金が2番めに少ない者を選ぶ。そのPCは、ひょんなことから財布を落としてしまっていることに気付く。誰かが探索判定(15)【探索判定(スカウト+知力B)】に成功するか【TP】を1増やせば、財布を発見できる。いずれも選ばない場合、財布を落としたPCの所持金はゼロになる。
6:呪われた魔本
埃をかぶった分厚い書籍が囁きかける。【セージ技能保持者】は【精神抵抗(14)】で判定する。抵抗に失敗したPCは魔本に向けて手を伸ばしてしまい、腕を食われる。外傷はまったくないが【MPを15点失う】(魔本はその後、姿を消す)。
7:省略戦闘/モンスター襲撃(レベル7)
モンスターが襲ってくる! 【省略戦闘】で処理すること。どのようなタイプのモンスターが襲ってくるかは、【トラブルカード】を引いたエリアに合わせてGMが演出すること。
8:矢の雨
代表者PCは罠感知判定(13)/【スカウト+知力B+2d6】で判定する。判定に失敗すれば、代表者は【15点の物理ダメージ】を受ける。
錆びた矢には毒が塗ってある。1点以上のダメージを受けていたとき【生命力抵抗判定(14)】を行う。失敗すればそのPCは、【休憩】するまでの間【あらゆる能動判定に-2の修正を受ける】。
9:落とし穴/スライム・プール
代表者PCの足元が突如消失し、透明スライム入り落とし穴へと落ちる。スライムたちは無害で、そのままでもゲーム的に影響はない。しかし服や鎧はどろどろぬるぬるになる。しっかり洗い流すなら【TP】が1増加する。
10:妖精のいたずら
妖精が現れ、あなたたちに悪戯を仕掛ける。すべてのPCは【生命力抵抗判定(12)】を行う。抵抗に失敗したPCは、このセッションが終わるまで、性別が逆転する。
11:不幸の呪い
呪われた仮面から呪詛の言葉を受ける。代表者PCが次に【エリアカード】もしくは【トラブルカード】指定の判定を行うとき、1度だけ自動的に失敗するようになる(自主的に無益な判定を行い、わざと呪いを消費することはできない)。
12:つり天井
天井が落ちてくる! PCから1名選ぶ。そのPCは【冒険者Lv+筋力B+2d6(16)】で判定を行う。判定に成功すれば、全員無事に脱出できる。判定に失敗すれば、PC全員が【24点の物理ダメージ】を受ける。
13:治癒の温泉
迷宮の中、なぜか傷を癒やす温泉が湧いている。周囲には敵もいないようだ。温泉に浸かったPCは【HPかMPのどちらかを5点回復させる】。この効果はセッション中、全員が一度だけ適応できる。
魔剣を手に入れ、無事イシルウェが迷宮から解放された場合、彼はエルフの姿に戻れます。全裸のままPCたちにお礼を言いにきます(イシルウェと遭遇していなければ、遭遇イベントを参考にして事情を説明して下さい)。基本経験点は1000点(成功)です。
イシルウェからの御礼として、もしPCたちが魔術工房の隠し財宝を手に入れていないならば、その半額に相当するアイテムか宝石を謝礼としてくれます。そして『魔法薬学大全』を含めたこれまでの発見物はPCたちにそのまま譲渡する旨を伝えてください。
単発セッションならば、PCたちのその後は好きに演出してもらいましょう。
【TP】が「8」になれば、その時点でミッションは失敗、セッションは終了処理に入ります。魔剣の迷宮は崩壊し、冒険者たちは気を失います。目覚めたとき、近くに全裸のイシルウェも一緒に倒れており、推測混じりで状況を説明してくれるでしょう。蛮族たちは既に帰還しています。基本経験点は500点(失敗)です。それまでの発見物は冒険者たちのものですが、それ以上の工房探索はイシルウェが許しません。
冒険者たちが魔剣の迷宮(【剣の世界】)に到達してもいないで【TP】が「8」に達した場合、魔剣を手にしたブレイヴィグたちが意気揚々と出て来るところに遭遇するかもしれません(残り時間に応じてGMが判断して下さい)。冒険者たちが蛮族と戦うこと望む場合、「4-7. ブレイヴィグとの邂逅」を参考にイベントを進めます。ただし敵データに以下の変化を加えて下さい。
・雑魚蛮族たちのHPは全回復
・ブレイヴィグのデータを「魔剣ロックバナナを入手したブレイヴィグ」(モンスターデータ記載)にする
ブレイヴィグたちに勝てば魔剣ロックバナナを入手できますが、所有者として認定されません。ブレイヴィグを打倒して魔剣を奪えば、基本経験点は800点(部分成功)になります。
冒険者たちが消耗に耐えられず、6時間以上の睡眠、あるいは街への帰還を決意した場合、ブレイヴィグたちが先に魔剣ロックバナナを持ち去ってしまいます。基本経験点は500点(失敗)になります。GMはこの結末を確定させる前、冒険者たちが帰還あるいは睡眠を決断したとき、「蛮族たちに先を越され、ミッション失敗になる」ことをアナウンスし、それでも構わないか確認して下さい。
本シナリオ終了後、PCそのままでキャンペーンを続ける場合、以下のような話の広げ方があります。GMはシナリオ作成時の参考にして下さい。
シナリオソース:ポーション騒動
猿からエルフに戻れた魔法薬学者イシルウェは、そのまま街に住み着きます。ところが、彼の作り出したポーションがさまざまなトラブルの種となります。盗賊ギルドや大金持ちもイシルウェのポーションに目をつけて……?
シナリオソース:ブレイヴィグの復讐
生き残ったブレイヴィグは、ロックバナナを奪った冒険者たちを憎む。ブレイヴィグにロックバナナの在処を示唆したヴァンパイアは冒険者たちに興味を持ち、おびき出すべく巧妙な罠を仕掛ける――
シナリオソース:蘇ったブレイヴィグ
ブレイヴィグはたしかに死んだ。しかし彼はレヴナントとして蘇った。彼は憎悪を糧に進軍を続け、村ひとつを壊滅させ、死者の徘徊する地獄と変える。村を解放し、憎しみの連鎖を断ち切れ!
シナリオソース:ロックバナナの真価
魔剣ロックバナナはその真なる力を発揮していない。冒険者たちは文献を調査し、ある遺跡の存在を見出す。かつてのロックバナナの所有者・ノスフェラトゥが住んでいたとされる古代の城には、寂しげな少女の霊が――
美女エルフのピンナップ
基本取引価格:200ガメル
魔動文明機時代の技術で印刷された写真。魔法使いイシルウェ秘蔵の品。美しいエルフが微笑んでいる。
『魔法薬学大全・第三版』
魔動文明機時代に印刷されたハードカバーの分厚い魔法薬学辞典、魔法使いイシルウェの私物で、手書きで補記も加えられている。量産技術を失った現代では極めて貴重な書籍だ。
がまぐち財布
基本取引価格:400ガメル
シーサーペーントの革製、高級がまぐち財布。ブランド印入り。保存状態が良く、好事家の目にかなうだろう。中には『美女エルフのピンナップ』が1枚入っている。
▼白ラベルのポーション
効果:緑色の炎を無効化する。
▼赤ラベルのポーション
効果:惚れ薬。【精神抵抗判定(18)】を行う。抵抗に失敗すれば、他PCをランダムで1名選び(種族・性別不問)、そのPCに惚れ、愛してしまう。どこまでロールプレイするかはPL次第だが、うまくロールプレイできたとGMが判断したとき、セッション終了時の経験点を50点増やすこと。
▼緑ラベルのポーション
効果:性転換ポーション。飲んだPCは即座に【生命抵抗判定(18)】を行う。抵抗に失敗すれば、ポーションを飲んだPCは即座に性転換する。鎧のリサイズなどは深く考えないものとする。
▼どどめラベルのポーション
効果:【生命抵抗判定(18)】を行う。抵抗に失敗すれば、使用者の腰あたりから触手が3本ほど生える。触手は意のままに動かせるが、力や速度はそれほどなく、武器や盾をにぎるようなことは出来ない。うまく使えば敵の行動阻害などはできるため、ゲーム的には【近接戦闘の命中判定に+1のボーナスが発生する】。
▼どくろラベルのポーション
効果:毒だ。飲んだ者は【15点の魔法ダメージ・毒属性】を受ける。
読み取れる部分の要約は以下の通りだ。
【この記述を読んでれば、魔術工房の探索判定に+4のボーナスを得る】
『石! そしてバナナだ! この北方由来の魔剣”ロックバナナ”には生命と死の深淵を解き明かす鍵が隠されている! 迷宮内部、豊かな森に生い茂るこの果実を素材に用いれば、我が薬学研究はさらなる高みへと向かうに違いない。
外はやや騒がしいが(註釈:記された時代は〈大破局〉の真っ最中か)、幸い幻影結界はまだ有効だ。魔剣自体にも興味は湧くが、まずはこの果実から探究を始めるとしよう……明日が楽しみだ』
『バナナがじつに美味しそうだ』
『興味深い効果のポーションが完成した。まだ効果は脆弱だが、これを飲めばある種の人々にとって有益なものとなるだろう。区別のため、どどめ色のラベルを貼っておく』
『ついでに間違えると危険なので、危険な毒ポーションにはドクロマークを描いておくことにした。セキュリティの意味を為していない気もしないでもないが、結界も隠し扉もあることだし、こんな僻地に忍び込む者なぞそうそうおるまい』
『バナナ。なんと甘美な響きであろう』
『今日は奥のほうまで足を伸ばし、なかなか愉快な連中と出会った。あの野郎どもめ、ちょっと強いからって調子に乗るなよ。次はこっちが巻き上げてくれる』
『パンツだけは勘弁していただけた。辞典は取り返さないと研究に差し障るな』
『バナナうめえ』
(この先は記述されていない)
具体的なデータは、所有PC・GM・卓傾向に応じて定めたほうが望ましいでしょう。
以下にサンプルデータを3つ記載しますので、自作の参考にして下さい。複雑な魔剣を望まなければAかBをベースに、複雑さを御しきれる自信があり所有希望者がいそうであればCが参考になるでしょう。
「所有者にきちんと喜ばれる」「他PCとのバランスを考え、強すぎない」「シナリオソースになる」「処理が複雑でない」といった点を意識して自作してみて下さい。
サンプルA
基本取引価格:不明 形状:剥いたバナナを象った石のバックル
装備部位:腰
魔剣ロックバナナはその真価を発揮できていないようだ。装備者の防護点を+1、HP最大値・MP最大値を+3する。
サンプルB
基本取引価格:不明 形状:剥いたバナナを象った石のバックル
装備部位:腰
魔剣ロックバナナはその真価を発揮できていないようだ。装備者の防護点を+1し、練技【ドラゴンテイル】を習得する。
サンプルC
基本取引価格:不明 形状:剥いたバナナを象ったメイス
分類:メイスB/1H
必要筋力:5 威力:10 命中:+2・追加ダメージ:+1 CT:12
穢れを養分として成長する魔剣(メイス)。内部に穢れを溜め込めばより大きく硬くなり、強力に成長する。魔法の武器として扱う。以下の特徴を持つ
・装備者が【穢れ】を帯びた生き物を倒すたび、ロックバナナの【蓄積値】を+1する
・【蓄積値】が増加したとき、ロックバナナの必要筋力・1H/2Hを変更できる。必要筋力の最大値は50もしくは【蓄積値】のどちらか低い方まで。威力も合わせて変化する
・装備者が敵にダメージを与えるとき、装備者のHPを1から5点の任意点数消費し、費やしたHPの分だけ与ダメージを増加できる。HP消費は1体・1回の攻撃毎に計算する
・初期【蓄積値】は「5」
7レベル/ブレイヴィグ(ドレイク・人間形態)/剣の欠片*6
知能:高い 知覚:五感(暗視) 反応:敵対的
言語:交易共通語、汎用蛮族語、ドレイク語、魔法文明語
知名度/弱点値:11/18 弱点:魔法ダメージ+2点
先制値:17 移動速度:21/42(飛行)
生命抵抗力:10(17) 精神抵抗力:11(18)
剣/命中11(18)/打撃点2d6+11/回避8(15)/防護点7/ HP44(+30)/MP51
▼特殊能力
†操霊魔法6レベル/魔力9(16)
†真語魔法6レベル/魔力9(16)
†魔力撃(追加ダメージ+9)
○飛行(近接戦闘攻撃の命中・回避判定に+1のボーナス)
†竜化(ノーマルドレイクのものと同じ)
8レベル/ブレイヴィグ(ドレイク・竜形態)/剣の欠片*6
知能:高い 知覚:五感(暗視) 反応:敵対的
言語:交易共通語、汎用蛮族語、ドレイク語、魔法文明語
知名度/弱点値:13/19 弱点:魔法ダメージ+2点
先制値:19 移動速度:21/42(飛行)
生命抵抗力:11(18) 精神抵抗力:12(19)
部位:胴体・翼×2(3部位)
コア部位:胴体
牙(胴体)/命中11(18)/打撃点2d6+15/回避9(16)/防護点8/ HP54(+10) MP61
翼(翼)/命中12(19)/打撃点2d6+12/回避7(14)/防護点5/ HP32(+10) MP21
翼(翼)/命中12(19)/打撃点2d6+12/回避7(14)/防護点5/ HP32(+10) MP21
▼特殊能力
●全身/
☆人間化(ノーマルドレイクのものと同じ)
●胴体/
†操霊魔法6レベル/魔力9(16)
†真語魔法6レベル/魔力9(16)
†《魔力撃》/追加ダメージ+9、回避・抵抗-1
†光のブレス/11(18)/生命力抵抗/半減 「射程:50m」「形状:射撃」で敵1体に対して「2d6+15点の魔法ダメージ(純エネルギー属性)」を与える。この攻撃は連続した手番には使えない。
●翼/
○飛翔(すべての部位は、近接戦闘攻撃の命中・回避判定に+1のボーナス。この能力は[部位:翼]のうちいずれかのHPが0以下になったとき失われる)
戦利品:
ノーマルドレイクを参照し、出目を+2高いものとする。
以下、魔剣ロックバナナを手にしたブレイヴィグのデータです。展開次第では戦うことになるでしょう。強化されています。強さとしては、ドレイクバロンに迫っています。
8レベル/強化ブレイヴィグ(ドレイク・人間形態)/剣の欠片*7
知能:高い 知覚:五感(暗視) 反応:敵対的
言語:交易共通語、汎用蛮族語、ドレイク語、魔法文明語
知名度/弱点値:11/18 弱点:魔法ダメージ+2点
先制値:18 移動速度:21/42(飛行)
生命抵抗力:11(18) 精神抵抗力:12(19)
剣/命中12(19)/打撃点2d6+13/回避8(15)/防護点9/ HP47(+35)/MP51
▼特殊能力
†操霊魔法6レベル/魔力10(17)
†真語魔法6レベル/魔力10(17)
†魔力撃(追加ダメージ+10)
☆練技【ビートルスキン】
○飛行(近接戦闘攻撃の命中・回避判定に+1のボーナス)
☆竜化(ノーマルドレイクのものとは違い、補助動作)
9レベル/強化ブレイヴィグ(ドレイク・竜形態)/剣の欠片*7
知能:高い 知覚:五感(暗視) 反応:敵対的
言語:交易共通語、汎用蛮族語、ドレイク語、魔法文明語
知名度/弱点値:13/19 弱点:魔法ダメージ+2点
先制値:20 移動速度:21/42(飛行)
生命抵抗力:12(19) 精神抵抗力:13(20)
部位:胴体・翼×2(3部位)
コア部位:胴体
牙(胴体)/命中12(19)/打撃点2d6+17/回避9(16)/防護点10/ HP57(+15) MP61
翼(右翼)/命中13(20)/打撃点2d6+14/回避7(14)/防護点7/ HP35(+10) MP21
翼(左翼)/命中12(20)/打撃点2d6+14/回避7(14)/防護点7/ HP35(+10) MP21
▼特殊能力
●全身/
☆人間化(ノーマルドレイクのものと同じ)
●胴体/
†操霊魔法6レベル/魔力10(17)
†真語魔法6レベル/魔力10(17)
†《魔力撃》/追加ダメージ+10、回避・抵抗-1
☆練技【ビートルスキン】
†光のブレス/12(19)/生命力抵抗/半減 「射程:50m」「形状:射撃」で「半径3m(5)」に対して「2d6+17点の純エネルギー属性ダメージ」を与える。この攻撃は連続した手番には使えない。
●翼/
○飛翔(すべての部位は、近接戦闘攻撃の命中・回避判定に+1のボーナス。この能力は[部位:翼]のうちいずれかのHPが0以下になったとき失われる)
戦利品:
ノーマルドレイクを参照し、出目を+3高いものとする。
この項目では、追加サプリメントや人数に合わせたデータ・ゲームバランスの調整方針を書きます。
サプリメントの追加・変更によるバランス調整は、「キャラクター・レギュレーションの調整」で対応します(ダンジョン全域に渡る調整よりもラクだからです)。
分冊I改・II改のみ/PC人数が4人の場合
経験点:初期+9,000点 成長回数:8回(1能力につき最大3点配分可)
所持金:9,500ガメル 名誉点:120点
冒険者レベルの目安:平均5(4から6)
『分冊III』『アルケミスト・ワークス』までの追加
所持ガメルを500減らします(=PC4人の場合、9,000ガメル)。
『ウィザード・トゥーム』『フェイダン・ザルツ博物誌(流派)』『カルディア・グレイス』までの追加
経験点を500点減らします(=PC4人の場合、初期+8,500点)
『ウィザード・トゥーム』追加により、敵ボスも「深智魔法」を用いるようになります。また、剣の欠片により、生命・精神抵抗力が上昇します。
『イグニス・ブレイズ』『ユーレリア博物誌』までの追加
経験点を更に500点(合計1,000点)減らします(=PC4人の場合、初期+8,000点)。
人数が変更した場合の調整は「キャラクター・レギュレーション」「モンスターデータ」の変更で対応します。ここに「サプリメントの追加・変更」も行う場合は、上述の補正を加えて下さい。
PC人数が3人の場合
キャラクター・レギュレーション
経験点:初期+125,00点 成長回数:10回(1能力につき最大3点配分可)
所持金:13,000ガメル 名誉点:180点
冒険者レベルの目安:5から6
モンスター・データ
「4-7.ブレイヴィグとの邂逅」において、ボガード・ソーズマンを2体除去します。
「4-7.ブレイヴィグとの邂逅」において、ブレイヴィグ(人間・竜双方・全部位)の打撃点を1点減らし、最大HPを3点ずつ減らします。
「4-8.魔剣の守護者」において、ジャック・オー・ランタンの剣の欠片を2つ減らします(計2つ)。
PC人数が5人の場合
キャラクター・レギュレーション
経験点:初期+7,500点 成長回数:6回(1能力につき最大2点配分可)
所持金:7,000ガメル 名誉点:120点
冒険者レベルの目安:4から5
モンスター・データ
「4-7.ブレイヴィグとの邂逅」において、ボガード・トルーパーを1体追加し、ブレイヴィグ(人間・竜双方・全部位)の回避値を1下げ、「剣の欠片」を2つ増やしてHPを上昇させます(計8つ)。
「4-8.魔剣の守護者」において、ジャック・オー・ランタンの剣の欠片を2つ増やしてHPを上昇させます(計6つ)。
PC人数が2人以下、あるいは6人以上
申し訳ありませんが、サポート外です。
バランス調整の方式が多岐に渡りすぎているため、具体的な調整まではサポート外です。
目安として、高レベルへの難易度調整は『ミストキャッスル』や『カースドランド』といったゲームブック型サプリメントにある目標値テーブルから逆算して算出し、適正レベルモンスターを再配置し、罠の与えるダメージを強力にすれば、それなりにバランスのとれたダンジョンになるでしょう。ただしそれだけの調整の場合、戦闘はまだしもダンジョン踏破が簡単になりすぎるかもしれません。高レベル冒険者の強さは、単なる数値に留まらないからです。
まず何よりも、テストプレイに付き合ってくれたひなしさん、カーソンさん、bokkuさん、狩生さん、影夜さん、配管さん、ラクスさん、まうさん、ありがとうございます。皆さまのお陰を持ちまして、ようやく公開できました。
SW2.0はずいぶん遊びましたが、こうして2.0シナリオをウェブ上に公開するのははじめてです。シナリオづくりに苦労をしているどこかの誰かがこのシナリオを発見し、うまいこと自卓に流用してラクをしてもらうためにこのシナリオを公開しました。もちろん、その上で皆で楽しんでいただければ、これに勝る喜びはありません。
最後になりましたが、SW2.0制作元であるグループSNEの皆さまに感謝いたします。
”次はイチャラブシナリオをつくりたい”ーよはん(@yohann_sw) ツイート